5-2.相続税の仕組みと申告
1.相続税の基礎控除
相続税は、相続または遺贈により財産を取得した場合にかかります。
ただし、基礎控除というものがあり、正味遺産額の評価額合計が、基礎控除の金額以下であれば相続税は課税されず、税務署に対する申告も必要ありません。
また、正味遺産額の評価額合計が基礎控除を超える場合でも、税務上の特例(配偶者控除、小規模宅地の評価減など)により、相続税がかからないケースもあります。
2.相続税の計算
相続税の計算は、次のように計算します。
1)課税遺産額
① マイナスするもの
ⅰ)非課税財産(債務、葬式費用)
② プラスするもの
ⅰ)相続開始前3年以内の贈与財産
ⅱ)みなし相続財産(死亡保険金(契約内容によります)や死亡退職金)
ⅲ)相続時精算課税制度を適用した贈与財産
課税遺産額=
本来の相続財産
-非課税財産-相続債務・葬式費用
+相続開始前3年以内の贈与財産
+みなし相続財産(死亡保険金(契約内容によります)や死亡退職金)
+ 相続時精算課税制度を適用した贈与財産
2)相続税の総額を出す
相続税の総額は、法定相続人が法定相続割合で遺産を分割したものと仮定して、相続税を各相続人について計算し、合計を算出して求めます。
3)各相続人の負担する相続税額を出す
そして、その総額を実際の分割割合で按分して各相続人が負担することになります。
4)各種税額控除の調整をする。
また、配偶者や未成年者、障害者など、相続人に応じた税額の控除がある一方、一親等の血族(子、親、代襲相続人となった孫など。ただし、養子となっている孫などを除く)及び配偶者以外の者は、税額が2割加算されます。
3.相続税の納税
相続税は、原則的に金銭で申告期限(相続開始から10か月以内)までに一括で納付しなければなりません。
例外としては、「延納」と「物納」という方法があります。
1)延納
延納とは、金銭での一括納付が困難な場合に、担保提供を条件に元金の均等年払いが可能となる制度です。ただし「利子税」という利子の支払いが必要となり、本来の相続税よりも多い金額を支払わなければならないので注意が必要です。
2)物納
物納とは、延納も難しい場合に相続財産を現物で国に納付する方法です。
① 国債や地方債、不動産、船舶
② 社債、株式、有価証券
③ 動産
といった順番で納付することが定められています。
ただし物納申請は却下される場合があり、その場合は原則通りに金銭で支払わなくてはなりません。
4.相続税の申告
相続開始を知った翌日から10か月以内に相続税の申告を行う必要があります。
申告書の提出先は、亡くなった方の死亡時の住所地を管轄する税務署です。
相続税の申告には、各相続財産に関する資料や被相続人及び相続人に関する資料など、膨大な資料の提出が求められます。そのため相続税の課税対象になる方の多くは、税理士に申告を依頼する傾向があります。
しかし相続税を得意とする税理士は多くはありません。依頼する税理士を間違えると、相続税を多く納付する結果になることも考えられます。
当事務所にご相談いただければ、相続税申告の実績と経験が確かな税理士をご紹介させていただきますので、お気軽にご相談ください。