1-4.相続手続きに必要なもの

1.はじめての相続

相続手続きに必要なものとして、一般的なものを記しておきます。

専門家である当事務所にご依頼になることで、多くの書類収集をお任せいただけますが、当事務所にお越しになる前に集めるべきものとして指標となるものですので、ご参考にされてください。

 

1.相続人確定のための書類

1)被相続人の出生から死亡までを追いかける

① 被相続人の出生時から死亡に至るまでの連続した戸籍の取得

「戸籍謄本」、「除籍謄本」、「改製原戸籍謄本」など、様々な種類があります。

2)配偶者も時に出生まで追いかける

① 配偶者がいれば、配偶者の現在の戸籍の取得

被相続人が亡くなった時期が最近であれば、基本的には被相続人の死亡の記載のある戸籍にて、配偶者は確認できます。

② 被相続人が亡くなり、手続き未了のうちに配偶者が死亡した場合

配偶者も出生まで追いかける必要があります。基本的には、被相続人との婚姻前を遡ります。

3)被相続人に子がいる(いた)場合【第1順位の相続】

① 子どもの戸籍謄本の取得

子どもが生存していれば、その方の現在の戸籍謄本を取得します。

② 子どもの死亡までつながる戸籍の取得

子どもが被相続人よりも先に亡くなっている(同時死亡も含む)ときは、その子どもの死亡までの連続した戸籍謄本等を取得します。

4)被相続人に子がいない場合【第2順位、第3順位の相続】

① 生存している父母等の現在の戸籍、及び他の父母等の死亡の記載のある戸籍の取得【第2順位の相続】

被相続人の父母または祖父母の誰かが存命中ならば、その方の現在の戸籍を取得します。そして、既に亡くなられた父母及び祖父母の死亡の記載のある戸籍を取得します。

② 被相続人の父母等の出生から死亡までの連続した戸籍、兄弟姉妹の現在の戸籍、又は兄弟姉妹の死亡までの連続した戸籍【第3順位の相続】

被相続人の父母及び祖父母等直系尊属が全員先に亡くなっている場合は、被相続人の父と母両名の出生から死亡までの連続した戸籍を取得します。兄弟姉妹が生存していれば、その方の現在の戸籍を取得します。被相続人よりも先に死亡した兄弟姉妹(同時死亡も含む)がいれば、その方の死亡までの連続した戸籍を取得します。

 

2.被相続人(亡くなった方)と相続財産の各登録名義とのつながりを示す書類

相続財産の各登録名義とつなげる、とは、基本的には各時期における、被相続人の住所がわかる書類を収集することになります。先に以下の公的書類の説明をします。

1)住民票の除票と、戸籍の附票

① 住民票の除票

住民票は、被相続人が住所を置いていた(住民登録をしていた)市区町村で取得できます。死亡又は住所地の異動により住民登録が抹消された後に取得できるものを、住民票の「除票」と言います。

※保存期間
住民票は、除票も含めて、住民登録の抹消後5年間しか保存期間がないのがネックです。現在、空き家問題や、山林などの未相続登記問題の解決には、所有者情報の永続的な整備が必要不可欠とされており、国土交通省としては、下記のような対策案を提示していますが、未解決です。

【対策案】
・市区町村への運用改善(5年以上の保存とその交付)の依頼
・住民基本台帳法施行令に定める住民票の除票、戸籍の附票の除票の保存期間の延長についての検討

② 戸籍の附票

国民の本籍地と住民登録地をつなげるために、被相続人の本籍地において、戸籍の附票が備えおかれています。戸籍が生きている限り、戸籍の附票も残っている点で、役に立つ場面が多いです。時に、戸籍の附票の改製原まで取得して、被相続人の住所をつなげることがあります。(戸籍の附票の改製原も、保存期間は改製後5年間ですが)

2)相続財産の各名義とのつながりを示す

① 不動産登記の場合

登記されている被相続人の住所とつなげることになります。

住民票の除票のほかに、戸籍の附票(改製原を含む)の取得が有効である場合が多いです。その他、取得済の改製原戸籍・除籍謄本などの本籍地と一致していることで、他の書類は不要とする場合もあります。どうしてもつながらないときは、不在籍証明・不在住証明などを取得することもあります。

その判断は難解なので、司法書士である当事務所にお問い合わせ下さい。

② 預貯金解約の場合

通常は、住所の移動とともに、口座開設した金融機関に届け出ていることが多いですが、未使用通帳など、過去の住所のままの登録のケースもあります。その場合、現在の住所では、現存照会(口座の有無の確認)もおぼつかないことがあります。

③ その他手続き

基本的には、契約時・登録時の住所とつなげて、被相続人と名義人の一致を確認すると思いますが、氏名と生年月日のみで特定する場合もあるでしょう。

 

3.相続財産に不動産がある場合の書類

不動産調査で最も重要なのは、今回の相続手続から、漏れなくすべての不動産を対象とすることです。そのため、複数の視点から調査をします。以下は、一般的な調査方法です。

① 固定資産評価証明書の取得

不動産所在地の市町村役場の資産税課で取得できます。東京都特別区(23区)の場合、固定資産評価証明書は都税事務所であればどこでも取得できます。

②の名寄せ帳台帳の写しとの違いとしては、不動産を選択して請求できる点と、固定資産税が課税されていない不動産も記載される点です。市町村によっては、非課税不動産は、②に載ってこないことがありますので、そこを漏らさず調査できる可能性が高まります。一方、原則として資産税課の職員が能動的に不動産を選択することで各不動産を記載するので、人間の作業ゆえの漏れの可能性は否定できません。

② 固定資産税課税台帳証明書 兼 名寄せ帳台帳の写し

不動産所在地の市町村役場の資産税課で取得できます。東京都特別区(23区)の場合、名寄せ帳台帳の写しは、不動産所在地を管轄する都税事務所で取得できます。

①の固定資産評価証明書との違いとしては、名義人を指定することで、課税対象不動産は直ちに一覧で出てくることです。担当職員の選択漏れによるミスはありません。一方で、課税されていな不動産は記載されない市町村もあります。

③ 登記済権利証 又は 登記識別情報

被相続人名義の登記済権利証は、①②と並んで重要な資料です。①固定資産評価証明書を取得した際に、担当職員が人為的なミスで漏らした不動産を、権利証を元に拾える場合があります。

また、祖父名義の不動産など、前回の相続登記で漏らしてしまった不動産が見つかるケースもあります。

④ 登記事項証明書・公図など

法務局で取得できるこれら書類の取得は、基本的には司法書士事務所である当事務所に任せてしまった方が、より掘り下げた調査ができます。公図調査より、名義が残っていそうな不動産をあぶりだすこともあります。

 

4.遺言書の有無により必要なもの

1)遺言書がある場合

① 公正証書遺言の正本又は謄本

手続きは正本でも謄本でもできます。

コピーのみ手許にあり、正本などが見当たらない場合でも、公証役場に再請求ができますので、ご安心ください。

② 自筆証書遺言

家庭裁判所での検認手続き前であれば、当事務所にて検認手続きのサポートをいたします。そのままご持参ください。

2)遺言書がない場合

① 遺産分割協議書

不動産について法定相続以外の内容で名義変更するには、遺産分割協議書が必要です。

遺産分割協議の促進についてのサポートも当事務所にて行えるので、必ずしも、事前に遺産分割協議をまとめていただく必要はございません。むしろ、遺産分割協議前にご相談に見えるケースがほとんどです。

② 相続人全員の印鑑証明書

司法書士・行政書士の業務遂行の中で取得できないものの代表例が、印鑑証明書です。これだけは、お客様自身に取得していただく必要があります。

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