2-3.遺産分割の調停と審判

2.遺産分割協議

相続人どうしの話し合いの場ではお互いに感情的になってしまったり、損得勘定に走りお互いに譲歩できなかったりすることがあります。こうなると、いつまで経っても遺産分割協議はまとまりません。

このような状況の解決手段として、家庭裁判所の遺産分割の調停手続きや、遺産分割の審判手続きがあります。

 

1.遺産分割の調停

1)調停の性質

遺産分割の調停というのは、いわゆる「裁判」ではありません。

家庭裁判所の家事審判官(裁判官のこと)や調停委員が、相続人どうしの意見や主張を聞きながら、解決案を示したり、アドバイスをしたりしますが、これら提案には強制力がありません。つまり、調停というのは、相続人全員での話し合いによる解決を目指すものです。したがって、相続人が納得いかなければ調停案を拒否して、話し合いを続けることになります。

2)調停調書とは

調停によって、相続人全員が納得できる解決策がまとまった場合は、調停調書が作成されます。調停は「裁判」ではありませんが、調停調書は裁判における「判決」と同じ効力があります。したがって調停調書に従わない相続人がいた場合には、強制執行により調停調書内容の実現を図ることができます。

 

2.遺産分割の審判

1)審判の性質

調停はあくまでも話し合いですから、相続人どうしの利害が絡み合って、まとまらないことがあります。調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続きが開始され、家事審判官(裁判官)が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況、これまでのいきさつその他一切の事情を考慮して、審判をすることになります。

審判は「家庭裁判所が決定を下す」ことが目的となりますから、調停のように話し合いでの合意を目指すものとは大きく性質が異なります。

2)審判に不服の場合

審判の内容について納得できない相続人は、審判が下された日の翌日から二週間以内に「即時抗告」の手続きを行うことができます。この期間に何もしなければ、相続人は審判の内容に従わなければなりません。

審判の結果にも納得いかない相続人は、最終的には遺産分割の「訴訟」での長い争いを覚悟しなければなりません。

 

3.当事務所のできること

1)調停申立て書類の作成

家庭裁判所への調停申立て書類の作成を承ることができます。家事審判官や調停委員の進行に寄与するように、論点を整理した申立て書面を作成いたします。

2)遺産分割サポートサービスが不調に終わった場合

当事務所の知恵と経験、調整力の総力を投じても、中立型調整業務としてお受けした遺産分割サポートサービスが不調に終わるケースもあります。遺産分割協議は各相続人の思惑や人生背景が複雑に絡み合うものなので、致し方ありません。

この場合には、調停申立て書類の作成は原則としてお受けしておりません。相続人によって、調停申立てをしてでも、この機会に相続を解決しておきたいとする人と、放置してもよいと考える人と、立場が異なるからです。中立型調整業務の性質上、一部の相続人の味方になることを想定していませんので、ご了承ください。


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