9-6.上手な生命保険の利用方法

9.はじめての生前相続対策

1.納税資金対策

相続税は金銭で一括納付をすることが原則になっています。不動産やその他の動産で納付すること(物納)は条件付きとなりますし、認められないケースもあります。売却して金銭に換価することも本望ではないことが多いでしょう。

そうしたときに、よく対策として使われるのが「終身保険」です。保障が一生続くため、死亡時に必ず保険金が受け取れ、現金が手元に残ります。

ただし、相続税額は一般的に高額です。その契約だけで支払えるような保障額の保険に加入しようとすると、保険料も高額になってしまいます。その対策として、保険期間を長くした「定期保険」や「定期付終身保険」が利用されることが多いようです。

 

2.生命保険を活用するメリット

1)受け取る死亡保険金には非課税枠があります

契約者、被保険者が被相続人で、死亡保険金受取人が法定相続人の場合、受け取った保険金は「みなし相続財産」として、相続税の課税対象となります。そのうち法定相続人数×500万円が非課税になります。

例えば、夫が死亡して妻が2,000万円の保険金を受け取った場合、子供が2人いたとすると、法定相続人3人×500万円=1,500万円が非課税となり、残りの500万円が他の相続財産と合算され、課税対象となります。

2)加入と同時に納税対策ができます

保険に加入したのと同時に資金が準備できることになります。銀行預金などの積立とは大きく異なる部分です。

3)保険金受取時まで課税は発生しません

生命保険の配当金は、受け取った保険金と一緒に相続財産として扱われ、契約途中で課税されることがありません。一方で、銀行預金は利息に20%強の源泉徴収がされます。

4)現金で受け取れます

相続税は、原則として相続開始から10か月以内に金銭で納付しなければなりません。もし不動産だけを相続したような場合、売却して資金を調達することも少なくないようです。保険金はもちろん現金として受け取れるので、不動産の売却をせずに済むかもしれません。

もちろん相続税の納付には、延納や物納という方法もありますが、利子もかかる上、手続きが面倒です。なお、不動産に全く手をつけずに相続税納付を行いたいのであれば、受け取る死亡保険金にかかる相続税分も計算に入れて、保障額(保険金額)を決める必要があります。

 

3.不動産の代償分割に生命保険を利用する

遺産が不動産だけで、そこに相続人が数人で住んでいれば、簡単に家を分割するわけにもいきません。生命保険を上手に使い、「代償分割」という方法がとれます。

「代償分割」とは相続人の一人が財産を受ける代わりに、他の相続人には相当の金銭や別の資産をその代償として支払うというものです。

この場合、不動産は遺言で一人に遺贈し、他の人を生命保険の受取人に指定して、その死亡保険金を分配することで帳尻を合わせられるのです。保険金額は、最低限、遺留分の額以上にしておくことが大事です。

 

4.株式の代償分割に生命保険を利用する

商売をしている場合、自社株について遺産分割すると商売ができなくなってしまうとことがあります。このような場合にも、「代償分割」が使えます。

同族会社の多くは、株式のほとんどを社長が持っています。すると、社長が死亡した際、社長が保有していた株式について、会社の経営に関係のない、後継者以外の相続人に権利を主張されると、会社の経営を圧迫するといった事態にもなりかねません。

会社経営を安定的に承継するためには、後継者一人に自社株を相続させることが必要です。そこで、後継者を死亡保険金受取人に指定することで、他の相続人に相当の金銭を支払うための資金を、生命保険で準備することができます。

 

5.贈与と組み合わせて生命保険契約をする。

子供に毎年お金を贈与し、それを資金として、子供を契約者、親を被保険者とする生命保険を契約することで、親の死亡時に保険金としてまとまったお金が入り、納税資金を準備することができます。この方法は、贈与した金銭の使用目的が決まっているため、多額のお金を手にしても子供の金銭感覚を狂わせてしまう心配もありません。

贈与と組み合わせる場合、次の点に注意しましょう。

① 毎年、「贈与契約書」を作成し、保存する
② 110万円以上の贈与をして、申告書を提出し、納税する
③ 贈与税申告書を保存する
④ 贈与者は生命保険料控除を活用しない
⑤ 受贈者の預金口座から保険料の支払いをする


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