6-6.相続放棄の失敗事例

6.相続放棄

1.相続順位の変更があった事例

父親が亡くなり、相続人は母親と子供2人でした。相続財産は、父親が母親と二人で住んでいた自宅と、1,000万円の預金、父親が受取人の生命保険金3,000万円でした。

子供たちも自立していましたので、話し合いの結果、母親に全部、遺産をあげようということになったのですが、その方法がトラブルの原因でした。子供たちは、母親に遺産を全部あげるために相続放棄の方法をとってしまったのです。

確かに、他の相続人が相続放棄をすることで、ある相続人に遺産を全て相続させるケースはあります。しかし、相続放棄により、相続順位が変わることがあることに配慮が足りないと、大きなトラブルとなります。実際、今回のケースでは、父親の兄弟が3人もいたのです。

相続が発生したときに相続人となれるのは、まず配偶者です。そして子どもがいれば子どもが相続人になります。子どもがいなければ直系尊属(親)、直系尊属もいなければ兄弟姉妹の順に相続人になります。

今回のケースでは、先ず配偶者が相続人です。次に子どもが全員相続を放棄したので、相続順位に変更があり、(直系尊属も既に亡くなっていたため、)父親の兄弟が相続人となってしまったのです。

相続人となったことを知った父親の兄弟たちは、遺産分割を要求してきました。配偶者と被相続人の兄弟が相続人となった場合の法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟が4分の1です。

結局、父の兄弟3人分の法定相続分1,000万円を、生命保険金からまかなう羽目になってしまいました。母親のためにと思って相続放棄の手続きをとったことが、かえって母親に損をさせることになってしまったのです。

専門家に相談すれば、子どもたちの母親を思う気持ちを安全に叶えることができたのです。当事務所は、皆さまの想いを成就させるアドバイスができます。ぜひ一度、ご相談ください。


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