6-2.単純承認と限定承認

6.相続放棄

1.単純承認とは

単純承認とは、プラスの相続とマイナスの財産を無条件・無制限に全て受け継ぐ方法です。

相続開始を知った時から3か月以内(熟慮期間とも言います。)に相続放棄または限定承認の手続きをとらない場合、自動的に単純承認となります。

1)法定単純承認とは

また、この他に下記の場合には単純承認したことになります。

① 相続財産の全部又は一部を処分したとき

② 限定承認又は相続放棄をした後でも、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私的にこれを消費し、又は悪意でこれを財産目録に記載しなかったとき

③ 債権を取り立てたとき

④ 賃料を受領する口座を、被相続人名義の口座から自分の口座に変更したとき

⑤ 相続財産を使って借金の弁済をしたとき

これらの場合は、自動的に単純承認になりますので注意しましょう。

 

2.限定承認とは

限定承認とは、相続によって得たプラスの財産の限度においてのみ被相続人のマイナス財産(債務及び遺贈)を弁済し、その上でプラスの財産があれば相続人が承継する方法です。

1)限定承認の検討場面

① 債務が超過しているかどうかはっきりしない場合

② 家業を再建したい想いがあり、プラスの相続財産の範囲内で債務を弁済できるような場合

③ 債権の回収の目途がたってから返済する予定であるような場合

④ 債務を加味しても、どうしても相続したい相続財産があるような場合

2)限定承認の注意点

① 相続人全員の同意が必要で、相続人の一人だけが限定承認することはできません。一人でも法定単純承認事由が生じると、相続人全員が、限定承認はできなくなります。

② 相続の開始を知ったときから3か月以内に「限定承認の申述申立書」を家庭裁判所に提出します。

③ 限定承認を選択した場合には、含み益がある財産(例えば、購入したときより値上がりしている土地や宝石・美術品、自社株式など)がある場合、譲渡益相当額の所得税が課税されるため、準確定申告が必要となります。

④ 相続人が複数の場合は、家庭裁判所により相続人から1名の相続財産管理人が選任されます。

3)限定承認の手続きの流れ

① 戸籍など添付書類を取得します。

② 限定承認申述書と財産目録を作成し、家庭裁判所に提出をします。

③ 家庭裁判所から照会書が届くので、回答して返送します。

※当事務所では、照会書にどのように回答したらよいのかのアドバイスをしています。

④ 家庭裁判所で限定承認の申述が受理されます。

⑤ 相続財産管理人の選任がされます。

⑥ 相続財産管理人による精算手続が開始します。

限定承認はとても特殊な手続きです。税金の問題も絡むことを知らない専門職もいます。相続問題に実績のある当事務所までご相談ください。


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