6-4.保証債務の相続

6.相続放棄

相続放棄に関連して問題となるのが、「保証債務」です。

 

1.保証債務という時限爆弾

被相続人が主債務者(借金をした本人)となっている借金については、借用書(金銭消費貸借契約書)が残っていたり、たとえ借用書が残っていなくても金額が大きければ不動産などを担保に入れたりしているため、不動産登記簿謄本からその存在を確認することも容易です。

しかし、被相続人が他人の債務を連帯保証していた場合には、主債務者の金銭消費貸借契約書に連名で署名したのみで、保証人は契約書のコピーをもらわない場合も多く、被相続人から「私は○○の連帯保証人だ」と話を聞いていない限り、相続人としてはなかなか知ることはできません。

連帯保証債務の存在を知らずに相続してしまい、何か月あるいは何年も経ってから、主債務者が破綻したことを機に(時限爆弾のよう)、突然相続人に請求が来るという話は、テレビドラマだけのことではないのです。

 

2.相続開始後に、保証債務が発覚した場合

債務が全くないと誤信していたために、「相続の開始があったことを知ってから3か月」を経過しても相続放棄の手続きをとらなかった場合には、その誤信をするについて相当の理由があると認められる場合にのみ、例外的に、債務の存在を知った時(例:債権者からの督促状が届いた日)から3か月以内に手続きをすれば、家庭裁判所で相続放棄が受理されることとなります。

ただし、この場合、家庭裁判所が相続放棄の申述を受理しても、債権者が「当該相続放棄の申述は、期間経過後になされた無効なものである」として争ってくる可能性は否定できません。相続放棄の有効性は最終的には訴訟で決まりますので、債権者からの訴訟提起により、内容によっては相続放棄が無効とされる可能性もあるということを頭に入れておく必要があります。

相続放棄が認められず、保証債務を相続してしまった場合、自らの資力でまかなえる額であればいいのですが、その資力を超えた多額の債務を被ってしまうと、債務整理手続に拠らざるを得なくなってしまいます。

また、たとえ相続放棄が認められた場合でも、一度相続した後何年も経ってからの相続放棄では、既に相続した財産を処分・消費してしまっている場合、面倒な問題がいくつも出てくる可能性があります。

 

3.保証債務の調査方法

連帯保証人になった場合も、次のとおり情報を得られる余地があります。

1)連帯保証人になったことが登録される信用情報機関

① 全国銀行個人信用情報センター
② 株式会社シー・アイ・シー
③ 株式会社日本信用情報機構

③は、個人の連帯保証人になっても登録されないが、法人の連帯保証人になった場合は登録がされる。

保証債務の問題は、単なる借金よりデリケートです。相続手続きの多くの実績のある当事務所までご相談ください。


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