10-3.遺言の種類

10.遺言

遺言の種類には、普通方式の遺言と、緊急時等の場合を想定した特別方式の遺言があります。

 

1.遺言の種類~普通方式

1)自筆証書遺言

遺言者本人が、遺言の全文・日付・氏名を自筆で書き、捺印したものです。

用紙は何でも構いませんが、ワープロ文字や代筆は認められず、必ず自分で書くことが必要となります。

>>遺言の書き方 について詳しくはこちら

2)公正証書遺言

遺言者本人が、公証人の面前で、証人2人以上の立会いのもとで、遺言の内容を話し、公証人が筆記します。

そして公証人は、記録した文章を本人と証人に読み聞かせたり、閲覧させたりして、筆記の正確さを確認し、それぞれの署名・捺印を求めます。

これに、公正証書遺言の形式に従って作成した旨を公証人が記載し、署名・捺印して完成します。

>>公正証書遺言 について詳しくはこちら

3)秘密証書遺言

遺言者本人が、公証人の面前で、書面に内容を記載して署名・捺印した上で封筒に入れて、署名した印鑑と同じもので封印をします。

これを公証人1人と証人2人以上の前に提出し、自分の遺言である旨を告げ、住所氏名を述べます。

公証人が、封紙に日付とともに秘密証書遺言に沿った手続きであることを記録し、遺言者本人・証人とともに署名捺印します。

公正証書遺言と同じように公証人の面前で作成するのですが、遺言の内容を秘密にして、公証人でさえも確認できないようにするところが、公正証書遺言との相違点です。

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、作成時点でその内容を本人以外に知られることがなく、プライバシーを守ることができますが、本人の死後に家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。

 

2.遺言の書類~特別方式

特別方式の遺言は、差し迫った死期を目前とした状況で作成されることを前提とする、特別な遺言の方式です。そのために、遺言者が普通の方式で遺言を行う事ができるようになってから6か月間生存した場合には、特別方式の遺言は効力を失います。

① 死亡危急者の遺言
② 伝染病隔離者の遺言
③ 在船者の遺言
④ 船舶遭難者の遺言

 

3.公正証書遺言と自筆証書遺言の比較

 

公正証書遺言

自筆証書遺言

メリット

● 公文書として強力な効力をもつ。

● 形式の不備はなく、不明確な内容にもならない。

● 家庭裁判所での検認手続きが不要なので、死後すぐに遺言の内容を実行できる。

● 原本は公証役場に保管されるため、紛失・変造の心配がない。

○手軽でいつでもどこでも書ける。

○誰にも知られずに作成できる。

○費用がかからない。

デメリット

● 証人が必要。

※成年者であることが必要で、推定相続人やその配偶者、ならびに直系血族等はなれない。

● 費用がかかる。

○ 認知症などにより、作成自体の無効を主張されるおそれがある。

○ 形式の不備で無効になりやすい。

○ 不明確な内容になりがち。

○ 紛失や偽造・変造、隠匿のおそれある。

○ 家庭裁判所での検認手続きが必要で、迅速な執行ができない。

○ 金融機関は相続人に手紙を出す。


error: Alert: Content selection is disabled!!