11-2.暦年贈与と連年贈与

11.生前贈与

1.暦年贈与(110万円の基礎控除)

非課税枠 受贈者1人につき毎年110万円

1年間に110万円以下であれば、贈与税の課税を受けることなく、贈与が可能です。あげる人(贈与者)ともらう人(受贈者)の組合せに制限はなく、確定申告時期における申告も不要です。110万円を超えると利用できないわけではなく、超えた部分につき超過累進税率による贈与税の納税と申告をすればよいだけです。

相続開始前3年以内の贈与は、相続財産に加算して相続税の計算をするので、最後の3年にした贈与については、効果がなくなります。早いうちに対策を始めて、長期にわたり行なう場合に有効です。

 

2.連年贈与

1)連年贈与とは

ところで、潤沢な現預金のあるお父さんが、二人の子供に20年かけて限度額の110万円まで贈与を毎年して、合計4,400万円を贈与しようと計画したとします。

そのとき、

① 最初から4,400万円の贈与をする意図があること と、
② 気の向いたときに贈与をしていったら、たまたま20年連続110万円以下の贈与をして
  4400万円の贈与となった、

ということでは、税務署の捉え方が違います。前者の場合、4,400万円全額に対しての課税がなされる恐れがあります。これを「連年贈与」と呼びます。

2)連年贈与とみなされないためには

連年贈与とみなされないポイントはいくつかあります。

① 贈与契約書を贈与の都度作成する
② 110万円を超える贈与をして贈与税申告をするなど、記録を残す
  (贈与を受ける方ご本人の口座に振り込む)
③ 気の向いたときに行う贈与なので、毎年同じ時期に、同じ金額で贈与を行うことは避ける。

 

3.相続税と贈与税の税率の差額を利用する

より財産が多い方、贈与に年数をかけられない方は、年110万円の贈与では、効果が薄いことがあります。そんなときは、思い切って110万円を超える贈与をします。

年間110万円を超える贈与をする場合でも、財産の価格に対する相続税の最高税率に対し、贈与税の実効税率が少なくなるよう計算して、贈与にかける年数をできるかぎり短い年数とするよう導き出すことができます。

もちろん、実際の贈与額・贈与を行う年数等は、資産の内容、現金の有無、キャッシュフロー等を勘案して、事前に税理士に試算してもらった上で、個別に考えていかなくてはなりません。

贈与税について詳しく知りたい方は、当事務所で相続税・贈与税に強い税理士をご紹介いたしますので、お気軽にお問い合わせください。


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