12.成年後見制度とその周辺契約

12.成年後見制度とその周辺契約

相続対策をする際、相続「税」対策のみにしか関心がない方がいます。税対策は、相続対策のほんの一部であることは、徐々に知られてきました。相続前後の家族の課題の全体像をみるとき、特に重要度を増している「成年後見」とその「周辺契約」について分かりやすく解説していきます。

 

1.成年後見制度の種類

平成12年より始まった新たな後見制度において、社会福祉理念に変化がありました。判断能力が低下しても、本人に残っている能力を最大限活用しようとするノーマライゼイションの理念のもと、措置(行政サービス)から契約(対等な立場での選択)の時代へと変わりました。

新しい社会福祉制度のもとで二本柱に据えられた法定後見制度と任意後見制度。任意後見は、民法の特別法「任意後見契約に関する法律」によって定められているので、 結果として、任意後見契約をすれば(任意後見の登記があれば)、法定後見に優先するのが原則です。

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2.法定後見制度

認知症が進行し判断能力が不十分になると、たとえば高齢者が利用できる各種制度やサービスの選択を、ご自身で行うことが難しくなります。また、詐欺や悪質な訪問販売等の消費者被害に遭う可能性も増えます。離れて暮らすご親族としては不安が募ります。法定後見制度は、こうしたご親族の不安の解消に応えてくれる制度です。

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3.任意後見制度

判断能力が不十分になってから裁判所が選任するのが法定後見制度、判断能力の衰えに備えて、判断能力の十分なうちに自分の将来を託す人物と契約を交わしておくのが任意後見契約です。頼れる身内がいない方のご利用のほか、知的障害を持つお子様を持つ親御様が、自身に万が一のことがあった場合に備えて、お子様のために法定代理人として任意後見契約を交わしておくなどの利用も考えられます。

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4.後見人の選び方

後見人とは財産の管理・処分や本人に必要な契約に関して、本人に代わって代理する人です。法定後見の場合には、後見人候補者を挙げることができますが、裁判所の専権事項なので、必ずしもその候補者が選任されるとは限りません。

任意後見の場合は、自分で選んだ人と契約ができます。

親族が後見人になることもできますが、司法書士に加え、弁護士、社会福祉士などの専門職が後見人になることが多くなってきました。

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5.任意代理契約(財産管理等委任契約)とは

成年後見制度の周辺契約に、任意代理契約(財産管理等委任契約)があります。

判断能力が十分な間でも身体的に外出することが難しい、そんな方にお勧めです。また、任意後見契約を結んだ後、定期的に任意後見人候補者と面談や連絡をとって自身の状態を確認してもらう見守り契約も任意後見とセットで使われるサービスとして利用されています。どちらの契約も元気なうちに後見人候補者と信頼を育むことにつながります。

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6.死後事務委任契約とは

親族はいるが、まったく連絡を取っていなく、自分が亡くなった後の事務(葬儀・埋葬・残置物の処理と部屋の明渡し・未払い債務の支払いなど)の負担をさせるのは忍びない、そんな方には死後事務委任契約がお勧めです。予め取り置いた死後事務履行用の金銭を用い、受任者が合法的に死後の事務を行うことができます。相続財産の使い込みなどで、相続人とトラブルになることもありません。

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7.後見申立ての動機と後見人の執務姿勢の齟齬

後見人が就任すれば何でもできるものと勘違いされている方がいます。後見人の執務姿勢は、後見制度の理念や家庭裁判所の方針を色濃く受けますので、こんなはずではなかった、ということがあります。

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