9-4.上手な成年後見制度の利用方法

9.はじめての生前相続対策

1.「身上監護」は成年後見の独壇場

1)身上監護とは

相続周辺の課題は、「身上監護」「財産管理」「財産承継」「その他(通常家族の支援により達成できること)」の分野に大別されます。

そのうち「身上監護」とは、本人の生活環境をよりよくするための各種契約をしたり、福祉関係者らと協議をしたりして本人の環境づくりをしていくことです。相続周辺の課題解決のための制度は種々ありますが、身上監護分野に手当てができるのは、成年後見制度だけです。

2)正しい手続きで身上監護を行う

家族がいる方は、成年後見制度を利用しなくても、事実上、家族が本人の代わりに各種福祉サービス契約や施設入所契約をしているケースが多いです。

しかし、身寄りのない方は、本人の判断能力が低下した後は、第三者が成年後見人として就任し、これら環境づくりに貢献することになります。

 

2.「財産管理」も正しく行う

1)財産管理とは

不動産・預貯金の管理処分、収入の管理と各種支払い手続き、年間収支を把握したうえでの生活設計、などが財産管理の具体的業務となります。

2)正しい手続きで財産管理を行う

家族がいる方は、成年後見制度を利用しなくても、事実上、家族が本人の代わりに本人の財産を管理しています。また、簡易な財産管理であれば、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業でもサポートしてくれます。

しかし、身寄りのない方で、本人の判断能力がかなり低下した後は、第三者が成年後見人として就任し、これら財産管理を実施していくことになります。社協の事業よりも、業務の密度は格段にあがります。

 

3.成年後見の各種制度

1)法定後見制度

本人の判断能力が低下した後に、身上監護と財産管理を行う人を選任するのが法定後見制度です。判断能力の低下度に応じて、後見・保佐・補助の3つの類型があります。

2)任意後見契約とその周辺契約

本人の判断能力が低下する前に、判断能力低下後に身上監護と財産管理を任せる人を事前に決めておくのが、任意後見契約です。

任意後見契約の周辺契約として、任意代理契約、見守り契約があります。また、亡くなった後の課題を解決するのに、死後事務委任契約もあります。

>>成年後見制度とその周辺契約 について詳しくはこちら

 

4.成年後見制度を上手に利用するのは意外と難しい

法定後見と任意後見は、事後の手当てか、事前の備えか、という意味で利用時期が異なります。本人の環境によって、事後の手当てしかできない場合は多いです。

また、後見人となる方の人選、任意後見契約の場合の周辺契約の融合の仕方など、配慮すべき課題は多いです。

後見人申立ての動機と後見人の執務姿勢の齟齬も、成年後見制度の利用を難しくしている原因の一つです。

 

当事務所にご相談いただければ、どのような形で本人の支援体制を構築すればよいか、一緒に考えさせていただきます。

>>成年後見制度利用支援サービス について詳しくはこちら


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