8-1.土地の境界問題

8.不動産の測量と売却

1.現況測量と確定測量

土地の測量で一般的なものには、現況測量と確定測量があります。
現況測量は、依頼者の明示した境界に沿って対象地の面積を測ります。

一方で確定測量は、隣地との境界を隣地所有者と立会いのうえ確認し、対象地の面積を測ります。すなわち、確定測量は、境界に関する隣地所有者との紛争を未然に防止する意味合いがあります。

建物新築の際に、建築基準に合致するかを検討するためにする測量は現況測量です。現況測量を行なったことをもって、確定測量も済んでいると勘違いされている方もいます。

 

2.相続開始後の確定測量の困難

生前、時間のあるときに行う確定測量であれば、紛争の予防となりますが、相続開始後の時間のない中で確定測量に臨む場合、過去の因縁が顕在化するなど、一筋縄ではいかないことが多いようです。

相続開始後に確定測量を行なった場合のデメリット事例を次に挙げます。

① 先代同士は、境界についての微妙な事情について知っていたが、互いに代が変わり境界についての解決の糸口が見つからなくなった。

② 納税資金にするために売却しようと測量を始めたが、隣地所有者の一部が立ち会いに応じず、申告期間内に売却ができなかった。

③ 納税資金にするために測量を行なったにもかかわらず、測量費用は相続税の計算にあたり相続債務とは認められなかった。

つまり、確定測量は、

① 事情のわかっている方が生きているうちに、
② 時間をゆっくりかけて、
③ 費用を被相続人(予定者)の財産から支出してするのが望ましい、

ということです。

まずは当事務所にご相談ください。隣地人との交渉も上手に行い確定測量を円滑にできる土地家屋調査士を手配します。

 

3.確定測量ができなかったときのデメリット

確定測量が不可となった土地は、

① 境界問題が残ったままで、隣地人との緊張が常態化している。
② 土地の分筆登記ができず、宅地分譲などができず、事業用途に制限が出る。

という大きな減点要素があります。

その結果、土地の売却が困難となるか、売却できたとしても、価格がかなり安くなってしまう可能性があります。


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