9-3.上手な贈与の利用方法

9.はじめての生前相続対策

1.相続と贈与どちらが得か?

生前贈与は、元気なうちに無償で財産を人に譲ることをいいます。

遺言によって死後に財産を譲る「遺贈」や、亡くなったときに財産を与える契約を生前に相手方としておく「死因贈与」と区別するための用語です。

生前贈与は、財産を譲りたい相手に確実に承継させることができるほか、将来負担すべき相続税を抑えるためにも利用されます。

 

2.生前贈与の注意点

生前贈与の際の注意点として、次の4点を確認する必要があります。

 ① 贈与税と相続税の節税額の分岐点を確認しておくこと

 ② 遺産分割の際に特別受益などのトラブルとならないように注意すること

 ③ 贈与契約書を作成しておくこと(公証役場での確定日付手続きが望ましい)

 ④ 相続開始前3年以内の相続人に対する贈与は、相続財産として加算されることを確認すること

生前贈与で大きな問題となるのは贈与税です。贈与税は暦年課税で、1 年間の基礎控除額が110 万円です。つまり、年間で110 万円以下の贈与については課税されず、申告も不要です。贈与する人の財産を徐々に減らすことができるため、一番シンプルな相続税対策だといえます。なお、贈与税の税率表は下記のとおりです。

贈与税の税率表

基礎控除後の

課税価格 ※

一般贈与

特例贈与※

税率

控除額

税率

控除額

200万円以下

10%

10%

300万円以下

15%

 10万円

15%

 10万円

400万円以下

20%

 25万円

15%

 10万円

600万円以下

30%

 65万円

20%

 30万円

1,000万円以下

40%

125万円

30%

 90万円

1,500万円以下

45%

175万円

40%

190万円

3,000万円以下

50%

250万円

45%

265万円

4,500万円以下

55%

400万円

50%

415万円

4,500万円超

55%

400万円

55%

640万円

→110万円の基礎控除額を引いた残りの贈与額について課税されます。
※特例贈与は、20歳以上の者が直系尊属(60歳以上)から贈与を受けた場合です。

 

3.贈与の各種制度

他にも、直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税制度や、婚姻期間20年以上の夫婦間での居住用不動産(取得資金)の贈与に関する最高2,000万円までの配偶者控除を利用する方法があります。
これらは完全に非課税になる、贈与税の免除の制度と言えます。

一方、相続時精算課税制度は、贈与時には一定額まで課税されないが、相続時に相続税の基準で課税する、課税時期を延期する制度と言えます。

60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子や孫(いずれも贈与をする年の1月1日現在の年齢)に対して財産を贈与する場合、通算で2,500万円の特別控除額までは今は非課税で贈与できます。なお、2,500万円を超えた額については20%の税率で課税されますが、相続税納付時にその贈与税相当額を控除します。

さらに、父母や祖父母から30歳未満の子や孫に対して教育資金を一括して贈与する場合には、子や孫ごとに最大1,500万円までは贈与税を払わなくてもよいという制度や、父母や祖父母から20歳以上50歳未満の子や孫に対して結婚・子育て資金を一括して贈与する場合には、子や孫ごとに最大1,000万円まで(結婚関係は300万円まで)は贈与税を払わなくてもよいという制度を利用することができます(ともに平成31年3月31日まで)。これらは、贈与税の免除の制度です。

実際の生前贈与のやり方はケースバイケースで、贈与物や贈与者と受贈者の関係、贈与税の額、更には贈与時期などを相対的に考えた上で手続きを踏んでいくことになります。
お客様にとって必要な贈与の仕方のご提案をしますので、当事務所までご相談ください。

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