12-6.任意代理契約(財産管理等委任契約)と見守り契約

12.成年後見制度とその周辺契約

1.任意代理契約とは

法定後見制度は、判断能力の減退があった場合に利用できるものです。任意後見制度も、契約後に判断能力が減退し、家庭裁判所での任意後見監督人の選任手続きを経て効力が生じます。

一方、任意代理契約は、家庭裁判所の関与も必要とせずに、今すぐ財産管理等を開始してもらいたい場合に有効な方法です。足元が不自由になり、日常の支払い等が難しくなった場合などに利用価値があります。

任意代理契約では、代理権目録を作成しますが、任意後見人が行うべき代理行為とほぼ同じメニューを、同一人物に託すことができます。必要に応じて、代理権の範囲を狭くしてもいいです。

1)任意後見契約と任意代理契約の比較

任意後見契約と任意代理契約の比較

任意後見契約と任意代理契約の比較

2)任意代理契約における監督機能

上記の任意後見契約との比較のうち、特に、代理人を監督する人が就くか就かないかが重要です。任意代理契約は、本人に判断能力があることを前提としているので、監督人が就きません。

すると、任意代理契約で始まった財産管理が、本人の判断能力低下後も漫然と継続されてしまうことは問題と言えます。本来は、任意後見監督人を選任して、任意後見に移行しなくてはならないのですが、監督人に監督されるのが億劫ということで、任意代理契約が継続されている事案も見られます。

司法書士会では、このような課題を克服するため、任意代理契約においても、公益社団法人リーガルサポートを監督人とする三面契約を推奨し、監督機能を発揮させています。司法書士と任意代理契約を結ぶことのメリットと言えます。

3)財産管理等委任契約とは

なお、本契約の呼称ですが、司法書士会では任意代理契約と呼んでいます。公証人の作成する公正証書は、単に「委任契約公正証書」と記載がされています。民法の一般の委任契約との違いを示すために、公証人の呼称にアレンジして、「財産管理等委任契約」と呼ぶこともあります。どれも、同じことを指しています。「財産管理」の後に「等」と付けるのは、任意代理契約では、身上監護に関する権限(福祉施設との契約権限など)も謳うことが多いからです。

 

2.見守り契約とは

見守り契約とは、支援する人が本人と定期的に面談や連絡をとり、備えとしての任意後見契約や、将来型の任意代理契約をスタートさせる時期を相談したり、判断してもらったりするための契約です。ただし、補助的な契約なので、緊急事態が起きた時でも、本人の代理人的な立場で支援することはできません。

第三者たる専門職に任意後見契約等を依頼する場合には、前工程として、信頼関係を築くために見守り契約をとりあえず開始することも一考かと思います。

1)見守り契約でできること(例示)

① 定期的な訪問や連絡
② 健康状態や生活状況の確認
③ ライフプラン変更の確認
④ 訪問販売、電話勧誘販売などといった各種契約に関する相談
⑤ 任意後見契約発効の申立て
⑥ 家族・親族に報告

 

3.任意代理契約の設計、作成

1)任意代理契約の設計

ご本人の家族関係、生活環境、今後のライフプランをお聞きしたうえで、任意代理契約・見守り契約の内容を設計します。

2)任意代理契約書・見守り契約の作成

任意代理契約、見守り契約の各契約書は、必ずしも公正証書で作成しなくても効果は生じますが、通常は公正証書として仕上げます。公証役場との打ち合わせを当事務所にて行ない、作成日にはご同行します。

ア)サポート料金

任意代理契約書の作成支援 B

8万円 +消費税

イ)公証人手数料

① 基本手数料 11,000円
② ページ加算 250円/枚

 

4.任意代理契約の受任者

1)司法書士が受任者になります

親族に受任者がいない場合、当事務所の司法書士が受任者として契約をすることもできます。昭島市役所前の立地で、地域の皆様の信頼を長らく醸成してきた当事務所が、ご本人の財産管理や死後事務を誠実に執り行います。

ア)受任報酬

① 任意代理受任者報酬  月額基本 3~5万円(税抜き)
② 任意代理業務の臨時報酬あり
   例 入退院手続き 10万円(税抜き)
③ 見守り契約  年額12,000円(税抜き)~


error: Alert: Content selection is disabled!!