13-2.親亡き後に、障がいを持つ子供の生活を保障してほしい
1.課題
1)前提
Aさんには、妻Bさんとの間に障がいのある一人息子Cさんがいます。AさんとBさんが亡くなると、二人の財産は、Cさんにすべて相続されますが、Cさんはあいにく自分で財産を管理する能力がありません。
2)成年後見でできないこと
一般的には、Cさんに後見人が就き、後見人が管理していくことになります。しかし、後見人の閉塞的な財産管理では、Cさんの人生を豊かにするために積極的に財産を消費してくれるかわかりません。
3)遺言が書けないBさん
また、Cさんが亡くなった時に、財産が残っていた場合、Cさんは遺言を書けないため、民法の規定では国庫に帰属することになります。
4)Aさんの希望は叶えられるのか
① Cさんに残した財産は、Cさんの人生を豊かにするために積極的に消費してもらいたい。
② Cさんが亡くなった際に残った財産は、Cさんと同じ環境の人を支援している団体に寄付したい。
AさんとBさんの希望を叶えるには、どうしたらよいでしょうか。
2.民事信託を活用した解決例
1)信託の設計
Aさんには、信頼できる親族の方との民事信託契約を提案しました。
Aさんには信頼できる親戚のDさんと民事信託契約を締結し、Aさんの財産を受託者Dさんへ信託してもらいました。信託契約の内容として、Aさんが生存している間はAさんを受益者(託した財産から得られる利益を受け取る人)に設定し、利益を必要に応じて受け取ります。
そして、Aさんが亡くなった場合の受益者を妻Bさんに、Bさんが亡くなった場合の受益者をCさんに設定しておきます。Aさん、Bさんが亡くなった後、信託財産から得られる利益は、Cさんが受け取ることになります。(受益者連続型信託)
2)積極的な消費の実践
信託の目的には、Cさんが亡くなるまでに信託財産をなるべく使い切るように謳い、受託者Dさんにはその点を心得てもらいます。
3)Cさんも亡くなった後の財産の行方
さらに、Cさんが亡くなった後の受益者は、Cさんと同じ環境の障がい者を支援している法人Xとし、信託終了後の残余の信託財産を寄付できるように設計しました。
なお、親戚であるDさんには、財産管理のお礼として月額等で信託報酬を信託財産から支払うことも可能です。
こうして、Aさんの抱くあらゆる課題を、民事信託を処方することで、解決できました。
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