11-6.(負担付)死因贈与契約
「贈与者の死亡によってその効力を生じる」という条件をつけ、贈与する人と贈与を受ける人とが契約したものが死因贈与契約です。これに負担を付したものが負担付死因贈与契約です。
1.(負担付)死因贈与契約の特徴
1)死因贈与契約の特徴
① 贈与を受ける人の承諾が必要
② 契約とともに権利義務が発生する
③ 原則として一方的な撤回は不可
贈与を受ける人も承諾しているため、遺贈よりも実行性に優れていると言われています。ただし、遺言書と同じように、遺留分減殺請求の行使は受ける可能性があります。遺留分を考慮した設計が必要となるでしょう。
2)負担付とは
「負担付」というのは、贈与をする方が贈与を受ける方に、何らかの義務・負担を強いることです。具体的には、「今後の身の回りの世話を続けてほしい」、「同居して面倒を見てほしい」といったケースが多く、遺言書よりも実行度合が強く、成年後見よりも自由度が高いという意味で、使い勝手の良い制度になっています。
2.(負担付)死因贈与契約書の作成方法
(負担付)死因贈与の手続きにおいて、注意をしなければならないのは、契約内容の実行が滞ったり、相続人間でトラブルが起きたりしないようにしておくことです。
1)契約書の内容
書面に残しておくことが大切で、次の点について正確な記載をします。
① 贈与の対象資産
ⅰ)資産が不動産の場合は、登記事項証明書の記載に従って正確に記載しましょう。
ⅱ)預貯金は「銀行名」「口座の種類・番号・名義人」を明示します。
② 負担付の場合は負担の内容
ⅰ)実施できる現実的な負担にしましょう。
ⅱ)負担の実績を証明できるとなおよいです。
2)公正証書を利用する
贈与契約書には有効性を否定しにくい公正証書を利用するのが、安全かつ確実と言えるでしょう。
また、公正証書を利用することで、遺言書と同様に、死因贈与執行者を指名することが可能です。これにより、実際に贈与を実施する際にスムーズな手続きが約束されます。
3.死因贈与契約の解除
死因贈与契約は、その性質に反しない限り、遺言の規定が準用されます。したがって、遺言が撤回できると同様、贈与者は原則として一方的に解除(撤回)できます。
しかし、負担付死因贈与契約の解除については、制限されています。受贈者が、その負担の全部または一部を履行しているときは、原則として解除することができません。
一方的な解除(撤回)を抑止する手段として、不動産であれば仮登記を申請しておくことも考えられます。当事務所にご相談ください。