15-3.種類株式の活用
1.定款整備
経営者が亡くなった場合、これに伴い株の相続が発生し、後継者にとって好ましくない株主が登場するとことが考えられます。
また、経営者一族ではない株主に相続が開始し、経営者にとって疎遠な株主が登場することもあります。
こうした場合に備えて、予め定款を整備しておけば、トラブルを予防することが可能です。安定的に定款変更できる時期に、定款の整備をしておきましょう。
株式の相続人に対して株式会社の株式を売り渡すように請求できる規定や、特定の株主からだけ株式会社が自己株式を取得し、他の株主には自分も売主に加えるよう請求できないとする定款変更をするケースがあります。
2.種類株式の発行に関して
種類株式とは、定款に定めることによって、株主の権利について普通株式とは違った権利を付与したり、株主の権利の一部を制限したりした株式のことです。
種類株式は、以下の9つの権利について異なった株式を発行することが可能です。9つの権利は、ある種類株式に複数同時に設定することもできます。
例えば議決権を制限する種類株式により、後継者のみに議決権を集中させることもできます。また、後継者である子供へ事業承継をさせたいと考えながらも、まだ経営権の全てをその子供に譲ることに不安な場合には、拒否権条項付種類株式を先代が保持することによって、経営が誤った方向に進みそうなときにストップをかけることもできます。
① 剰余金の配当に関する定め付
② 残余財産の分配に関する定め付
③ 議決権制限付
④ 譲渡制限付
⑤ 取得請求権付
⑥ 取得条項付
⑦ 全部取得条項付
⑧ 拒否権条項付
⑨ 種類株主総会において取締役または監査役を選任することができる選任条項付
その設計について詳しく相談したい方は、当事務所までご相談ください。