1-1.法定相続と相続人確定
相続が発生し、被相続人が遺言書を作っていなかった場合、相続人全員が話し合って遺産の分け方を決める「遺産分割協議」をするのが一般的です。
この遺産分割協議のベースとなるのが「法定相続」で、相続人となる人や各相続人の相続割合が法定されています。遺産分割協議が不調に終わった際に、家庭裁判所が調停等で拠り所とするのも「法定相続」です。
1.法定相続~法定相続順位と、相続人の相続割合
法定相続の順位と各相続人の割合は以下のように決められています。
順位 | 法定相続人 | 割合 |
---|---|---|
1 | 子と配偶者 | 子=1/2 配偶者=1/2 |
2 | 直系尊属と配偶者 | 直系尊属=1/3 配偶者=2/3 |
3 | 兄弟姉妹と配偶者 | 兄弟姉妹=1/4 配偶者=3/4 |
① 配偶者は常に相続人となります。
② 直系尊属は、子がいない場合の相続人となります。
③ 兄弟姉妹は、子と直系尊属がいない場合の相続人となります。
2.相続人確定
1)相続人確定は、相続手続きの初めの一歩
誰が相続人となるのかを把握できなければ、遺産分割協議をすることもできませんし、遺産を分配することもできません。相続人調査と相続人の確定は、相続手続き開始の第一歩と言えます。
相続の専門家として、税理士さんをすぐに思い浮かべる方もいらっしゃいますが、税理士さんの中には、相続に不慣れなため、本来、相続開始後2か月程度を目安に行うべき相続人確定作業も放置して、漫然とお客様に必要な書類案内のみ渡して数か月経過してしまっている方もいます。皆様においては、何をおいても、相続人確定が先だと、肝に銘じてください。
2)実際に調査してみると・・・
確かに、身内の中では相続人は誰なのか自明である、という方も多いでしょう。
しかし、実際に戸籍等関係書類を収集し調査してみると、お客様の把握している相続人の範囲が異なることがよくあります。相続人の確定後でないと、遺産分割協議等すべての準備・手続きが無駄になりますので、当事務所のような専門家にご依頼されることをお勧めします。正確さと迅速さにおいて、著しい成果をご提供できます。
3)お客様自身で戸籍収集は完遂できるか
被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人の中に亡くなっている方がいる場合の出生から死亡までの戸籍などは収集が困難で、一般の方ですと数か月かかってもまだ集まらない場合がございます。古い時代の戸籍はそれこそ古文書のようで、解読するのも難儀です。また、ご自身で集め終えたと思っても不足している場合も多々ございます。
戸籍収集に手間取る中で、次の相続が開始して相続人がさらに増えてしまうこともありますので、どうぞ早い段階で当事務所におまかせください。
3.相続人調査の基本的な流れ
1)被相続人の出生から死亡までを追いかける
① 被相続人の出生時から死亡に至るまでの連続した戸籍の取得
「戸籍謄本」、「除籍謄本」、「改製原戸籍謄本」など、様々な種類があります。
2)配偶者も時に出生まで追いかける
① 配偶者がいれば、配偶者の現在の戸籍の取得
被相続人が亡くなった時期が最近であれば、基本的には被相続人の死亡の記載のある戸籍にて、配偶者は確認できます。
② 被相続人が亡くなり、手続き未了のうちに配偶者が死亡した場合
配偶者も出生まで追いかける必要があります。基本的には、被相続人との婚姻前を遡ります。
3)被相続人に子がいる(いた)場合【第1順位の相続】
① 子どもの戸籍謄本の取得
子どもが生存していれば、その方の現在の戸籍謄本を取得します。
② 子どもの死亡までつながる戸籍の取得
子どもが被相続人よりも先に亡くなっている(同時死亡も含む)ときは、その子どもの死亡までの連続した戸籍謄本等を取得します。
4)被相続人に子がいない場合【第2順位、第3順位の相続】
① 生存している父母等の現在の戸籍、及び他の父母等の死亡の記載のある戸籍の取得【第2順位の相続】
被相続人の父母または祖父母の誰かが存命中ならば、その方の現在の戸籍を取得します。そして、既に亡くなられた父母及び祖父母の死亡の記載のある戸籍を取得します。
② 被相続人の父母等の出生から死亡までの連続した戸籍、兄弟姉妹の現在の戸籍、又は兄弟姉妹の死亡までの連続した戸籍【第3順位の相続】
被相続人の父母及び祖父母等直系尊属が全員先に亡くなっている場合は、被相続人の父と母両名の出生から死亡までの連続した戸籍を取得します。兄弟姉妹が生存していれば、その方の現在の戸籍を取得します。被相続人よりも先に死亡した兄弟姉妹(同時死亡も含む)がいれば、その方の死亡までの連続した戸籍を取得します。
4.相続人確定は相続手続きの基礎だからこそ、専門家に依頼するのが一番
このように、相続人確定をするため、実際に戸籍を集めると、実は養子がいたとか、親が認知している子がいた、ということが判明することもあります。
また戸籍の収集から親が再婚者であったことが判明し、相続人となる半血の兄妹姉妹がいたというケースもあります。そのうえ、相続人の住まいが全国各地に散らばっていて、それを探し出し連絡を取るのも大変です。場合によっては、海外にいることも最近は多くなりました。
本項では相続人確定の手順をみてきましたが、亡くなった故人の死を悼みながら、やり慣れない戸籍収集とその読み取りに時間を割くのは大変です。
当事務所では、ご依頼者に代わり相続人調査・相続人確定を行い、「相続関係説明図」としてご提供いたしますから、煩わしい手続きに追われることなく、故人との思い出をふり返る時間を大切にできます。
相続手続きを間違いなく円滑に進めるためにも、相続人確定は、当事務所にお任せになることをお勧めいたします。