1-2.遺産の種類と評価方法

1.はじめての相続

遺産には、不動産や金融資産といったプラスの財産だけでなく、借金というようなマイナスの財産も含まれます。

その他に遺産とはならない財産もありますから、相続財産を明らかにしなければ、遺産分割の協議をすることもできません。

 

1.遺産の種類

1)プラスの財産

① 不動産

宅地、農地、貸地、居宅、店舗、貸家など

② 不動産上の権利

借地権、借家権など

③ 金融資産・債権

現金、預貯金、有価証券、投資信託、株式、国債、社債、貸付金、売掛金、手形債権、小切手債権など

④ 動産

車、家財道具、美術・骨董品、宝石・貴金属、ペットなど

⑤ その他

ゴルフ会員権、著作権、特許権など

2)マイナスの財産

① 債務

借入金、買掛金、手形債務、振出小切手など

② 公租公課

未払の所得税・住民税・固定資産税

③ 保証債務

会社名義の借入についての個人保証など
親切心から負った知人の保証債務など

④ その他

未払利息、未払の医療費、預かり敷金など

3)遺産に該当しないもの

以下の財産は遺産とはなりませんから相続の対象外です。

① 生活保護受給権
② 身元保証債務
③ 扶養請求権
④ 死亡退職金
⑤ 受取人指定のある生命保険金
⑥ 墓地、霊廟、仏壇・仏具、神具など祭祀に関するもの

 

2.相続財産(遺産)の調査

遺産の種類を把握したら、相続財産(遺産)の調査を行います。ここでは、遺産の中心である不動産についてのみお話します。

ご自身で把握している不動産に漏れがないか、過去の相続手続きにおいて漏れがないかのチェックを行い、今回の承継手続きの対象となる不動産を特定する必要があります。

たとえば、今回の父の相続手続きにおいて、敷地の一部や道路部分に祖父名義の不動産が残っていることもあります。過去において(たとえば30年前に)手続きから漏れた不動産の承継手続きは、相続人の数が何倍にも増えてしまっています。今回も漏らすと、今後解決することは、事実上、不可能になる可能性もございます。専門家による調査をお勧めします。

 

3.遺産の評価~評価時期・評価方法

遺産の内容が判明したら、その価格を出さなければなりません。これを「遺産の評価」と言います。この遺産の評価が問題になるのは、3つの場面です。

① 遺産分割をするうえでの評価

 遺産分割協議をする時点での価値で評価します。

② 特別受益や寄与分の評価

 相続人の中に特別受益や寄与分がある人がいる場合、それらを「相続開始時」の価格で評価します。

③ 相続税法上の評価

 相続税の計算は、基本的に「相続開始時」で評価します。

相続税の計算方法は、「財産評価基本通達」で細かく決まっています。例えば、各種補正の必要ない基本的な整形宅地の場合は、路線価があれば路線価、路線価のない土地は固定資産税評価額に国が決めた倍数を掛けた額というように決まっています。

特に論点の多い不動産については、当ウェブサイトの下記ページを参照ください。

>>相続税法上の評価額の算出 について詳しくはこちら

また、相続税については、相続に詳しい税理士、不動産鑑定士に相談する必要がありますので、適切な専門家を当事務所でご紹介させていただきます。

>>相続の実務家がタクトを振る、各種専門職と連携した包括支援 について詳しくはこちら


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